親子三世代留学in フィリピン

留学体験談

藤本 静香

今年の8月下旬、義理の両親、私の父、そして1歳の息子を連れてフィリピンのスービックに親子三世代短期留学にチャレンジしてきました。スービックは、フィリピンのルソン島西部に位置し、かつてアジア最大のアメリカ米軍基地があったところです。現在は経済特区となり、退役した米軍の方がリタイアメントライフを楽しんだり、欧米の方々がリゾートにやってきたりしています。この地区に入るには、必ずゲート通り、IDを提示しなくてはならないため、治安も非常によく、女性や子連れでも安心して滞在できます。実際の滞在でも、この地区の中にいる限りは、本当に安心して過ごすことができました。
今回私は、自分の英語のブラッシュアップのために、現地にある英語学校に通いながら、ビーチに行ったり、プールで遊んだり、シニア層は、孫と遊びつつ、ゴルフを楽しんだり、フィリピンビールに舌鼓を打ったりと、皆でリゾートライフを満喫するつもりでした。
しかし、8月はあいにくの雨季。一度雨が降り出せば、ゲリラ豪雨のような雨がしばらくは続きました。日本の梅雨のようなイメージで行った我々は、その雨の強さに度肝を抜かれ、自然の脅威を思い知らされました。
結局、我々の滞在中に雨が止んだ日は1日くらいで、雨を満喫する日々となってしまいました。その結果、日本に帰ってきて、周りの人たちが、「すごい雨ね」と言っているのを聞いても、「えっ?これが?」と思えるほどに大雨に対する免疫がついてしまいました。ショッキングなことと言えば、我々が日本に帰国してから2~3日後にはスービックの晴れ渡った空をSNSで知ることになりましたが…。
さて、今回の滞在では、英語を学ぶだけでなく、英語学校のスタッフの方のアレンジで現地の幼稚園から大学まである学校見学もすることができました。そこでは、高校生の学生スタッフの方がガイドを務めてくれました。驚くべきことに、フィリピンでは、子どもの数が多いため、一つの校舎で同じ時間に全ての児童・生徒が一緒に授業を受けることができません。そこで、午前の部、午後の部に分かれ、授業を受けるとのこと。当日案内をしてくれた学生のスタッフの女の子は、午後に授業があるため、午前中は案内を務めても平気なのだと説明をしてくれました。私は、当日、彼女に小学校のクラスを見たいと伝えました。すると彼女は、3年生の教室のドアを軽くノック。どんどんと入って行き、授業を担当されていた先生にいきなり見学の交渉を始めたのです。先生は、このいきなりの訪問を受け入れてくださいました。私が教室に入ると、子どもたちが次々に集まってきて、「外国人なの?すごーい!」「キムチすきよ!」(韓国と日本の違いは難しいようです)「大阪に行ったことあるよ」など、沢山のことを英語で話しかけてくれました。子どもたちのキラキラした瞳は、世界中、どこへ行っても子どもはみんな同じなんだなと私に気づかせてくれました。
今回の学校訪問では、他にも小学校の図書館や中高大の図書館の見学もさせてもらいました。どこも事前連絡なしでのいきなりの訪問でしたが、スタッフの方は皆、親切に案内してくださいました。最後に皆で写真撮影し、図書館の中にいたスタッフ全員が一緒に入っての撮影となりました。私は、本当にほのぼのとした気持ちで学校を後にすることができました。
この突撃訪問に驚いた私ですが、スービックに住む知り合いに「どこの学校でも、いきなり行って、授業を見せてくれと頼めば、大概見せてくれるものだ」と言われ、その大らかさに驚きを覚えました。
一言で、その国の人々の国民性を表現するのは難しいですが、今回の私の経験から、フィリピンの方々は根っから明るく、オープン。そして、細かなことは気にせず、おおらかと言えます。例えば、道を子連れで歩いていても、「Hi, baby! 」と多くの人が笑顔で息子に声をかけてくれました。日曜日に礼拝にも参加しましたが、礼拝の終わりは皆で拍手。ハッピーな気持ちが自然と拍手になって表れたようでした。ホテルでは、ハウスキーピングが2時にくると言って4時近くになってしまうということは当たり前。真夜中に大声で歌いながらホテルの部屋に戻り、部屋の中で騒ぐお客さんもちらほらと…。細かなことを気にしていてはダメ。おおらかに、「でん」と構えることの大切さも学ぶことができました。
今回は、なんとなくついてきただけの息子でしたが、Thank you は頻繁に言っていたためか、「てんきゅう」と言えるようになって帰ってくることができました。
海外に滞在することは言葉だけでなく、違った文化や考え方を知り、自分を見つめ直すきっかけを与えてくれます。もう少し、息子が大きくなったら、再びフィリピンに滞在し、英語を学んでもらいながら、大らかさと様々な事を楽しむ気持ちも学んでもらいたいと思っています。